①人生のゴールと、優先順位を常に問い続けるべき
経営戦略の教授らしくまずは企業戦略と人生を対比し、「人生の目的はなんなのか」、そして、目的達成に向けた資源配分を行うときの「優先順位」はどのようになるのか、を常に問い続けることが"Sustaining a Successful Life"の条件だと述べた(ちなみに彼の授業の名前はSustaining a Successful Enterprise)。彼は15年前から、毎日夜中11時から12時までを「人生の目的」を考える時間に当ててきたそうである。1時間くらいでそんなの答えがでるわけないとはじめは思いながらやってきたが、今振り返ってみるとその時間が最も大切な時間だったかもしれないといっていた。


②優先順位を考える際、最後に神様がくれる「贈り物」を覚えておけ
”How God measure life? - it is not how much money you generated, but how you touched others' life"
癌に侵されてから、「あなたの一言のお陰で今の自分がある」という手紙を教え子・知人・そして全く覚えていない人から沢山受け取ったとのこと。人生の終りを迎えるときに、最も嬉しいのはこの「贈り物」だという。①で優先順位を決める際、この贈り物を忘れてはいけない。

③決めた優先順位・規律は「絶対に」守るべき
"It is much easier to hold to your standards 100% of the time than 98% of the time; don't measure life in marginal cost"
決めた規律は98%守るのではなく、100%守るべき、と。彼はHBS卒業後Boston Consulting Groupでコンサルタントとして働いていたのだが、あるプロジェクトでどうしても土日に働かなくてはならない時、「土日は宗教上の理由及び家族のために使う時間で働けません」と頑として断ったそうである。BCGで働いた経験のある身としては、かなり困難なことだというのはよくわかる。でも、「例外」として1回でも許すと、がらがらと自分の中での規律は崩れ、回りの人間にもどんどん崩されるため、100%守らなくてはならない。そうでないと①で設定した戦略を「実行」できない。実際、その後彼に土日に働いてほしいというものは一人もいなくなったそうである。
、、、いやー、耳が痛くて仕方ない。

④自信と謙虚さの両立がキャリアの形成上最も重要(!)
これは質疑応答のセッションで出た発言だが、びっくりしたと同時に嬉しくなった。前回のBlogで書いたとおり、私の人生観と重なるからである。曰く、自信がないと謙虚になる余裕が生まれない。謙虚さがないと自信を持つに足る実力をつけられない。全く同感である。

    • -

話を終えた彼は、終わらないスタンディングオベーションをじっと見て、泣いていた。抗がん剤と戦って髪が抜け落ちた体に鞭打って来てくれた彼に対する、教え子たちからの「贈り物」が嬉しかったんだと思う。