その時その時で最良の判断をすること、人を大切にすること、嘘をつかないこと、自分が得意なことをすること、不得意なことは回りにさくっと頼ること。あとは勝手に評判ができるに任せるしかない。
人との新しい出会い、これまでの出会いのメンテナンスに貪欲に。
何でもいいからメッセージを外に出してみるといいことが起きる、ことが少なくない。ブログありtwitterありの、広く自分を発信するコストが劇的に下がっているご時世。提灯を外に出しておけばいいお客さんが入ってきてくれるし、提灯をもって他の店に入ることもできる。提灯がちゃんとしてれば変なお客は実はあんまり入ってこない。


最近は事業再生ビジネスのニーズはかなり増しているらしい(米国)。米国の何がすごいって、危機でヘコまされても経済の新陳代謝が活発なのですぐに立ち上がってくるところ。経済発展にはイノベーションはたしかに必要だけど、そうして創出された新産業に資本・ヒト・技術がすみやかに流れていかないと経済発展のスピードは上がらない。古い産業から、新しい産業へのリソース・シフトが必要だ。だから古い産業のスリム化や退出をスムーズに進めるのもとっても重要な仕事だ。VCとかと比べて地味だけど、そこに事業再生の(マクロ経済的な)意義がある。

ビジネスに萌芽期→成熟期→衰退期というライフサイクルがあるのだとすれば、そのサイクルをスムーズに回していくエンジンが米国にはある。VC・ベンチャーは萌芽期を牽引し、PE(バイアウト)は成熟期のビジネスをLBOやRecapで合理化し、再生ファンドや今回の事業再生ビジネスは衰退期の企業を再生させるか、あるいは他へのダメージが少ないように整理する。コレに合わせ、流動的な労働市場や厚みのある資本市場がデンとインフラとして整っているおかげで、実に経済の新陳代謝が良い。

これも政府が意図的につくりあげたのでも、短期的に出来上がったのでもなく、市場と技術が歴史的に展開してきた産物なんだが、まあ本当にたくましい経済だと思う。

①人生のゴールと、優先順位を常に問い続けるべき
経営戦略の教授らしくまずは企業戦略と人生を対比し、「人生の目的はなんなのか」、そして、目的達成に向けた資源配分を行うときの「優先順位」はどのようになるのか、を常に問い続けることが"Sustaining a Successful Life"の条件だと述べた(ちなみに彼の授業の名前はSustaining a Successful Enterprise)。彼は15年前から、毎日夜中11時から12時までを「人生の目的」を考える時間に当ててきたそうである。1時間くらいでそんなの答えがでるわけないとはじめは思いながらやってきたが、今振り返ってみるとその時間が最も大切な時間だったかもしれないといっていた。


②優先順位を考える際、最後に神様がくれる「贈り物」を覚えておけ
”How God measure life? - it is not how much money you generated, but how you touched others' life"
癌に侵されてから、「あなたの一言のお陰で今の自分がある」という手紙を教え子・知人・そして全く覚えていない人から沢山受け取ったとのこと。人生の終りを迎えるときに、最も嬉しいのはこの「贈り物」だという。①で優先順位を決める際、この贈り物を忘れてはいけない。

③決めた優先順位・規律は「絶対に」守るべき
"It is much easier to hold to your standards 100% of the time than 98% of the time; don't measure life in marginal cost"
決めた規律は98%守るのではなく、100%守るべき、と。彼はHBS卒業後Boston Consulting Groupでコンサルタントとして働いていたのだが、あるプロジェクトでどうしても土日に働かなくてはならない時、「土日は宗教上の理由及び家族のために使う時間で働けません」と頑として断ったそうである。BCGで働いた経験のある身としては、かなり困難なことだというのはよくわかる。でも、「例外」として1回でも許すと、がらがらと自分の中での規律は崩れ、回りの人間にもどんどん崩されるため、100%守らなくてはならない。そうでないと①で設定した戦略を「実行」できない。実際、その後彼に土日に働いてほしいというものは一人もいなくなったそうである。
、、、いやー、耳が痛くて仕方ない。

④自信と謙虚さの両立がキャリアの形成上最も重要(!)
これは質疑応答のセッションで出た発言だが、びっくりしたと同時に嬉しくなった。前回のBlogで書いたとおり、私の人生観と重なるからである。曰く、自信がないと謙虚になる余裕が生まれない。謙虚さがないと自信を持つに足る実力をつけられない。全く同感である。

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話を終えた彼は、終わらないスタンディングオベーションをじっと見て、泣いていた。抗がん剤と戦って髪が抜け落ちた体に鞭打って来てくれた彼に対する、教え子たちからの「贈り物」が嬉しかったんだと思う。

謙虚なだけの人にはリスクをとることができず、誰もついてこないし、人を動かすことができない。一方、自信のあるだけの人は仮に優秀であったとしても没落していく。


。BCGでもBain Capitalでも初めは自信を失い、バランスを崩していたのだが、様々な方にサポートいただいてその環境である程度実績を残すことでまた自信を取り戻し、次のリスクをとりに行き、また打ち崩され、、、の繰り返しだった。今後の人生も多分、この繰り返しなんだろうな、と思っている。

理論的におかしいことは長続きしない。あるいは、理論的に説明できないことが生じる場合は、その理論が置いている前提を疑うべき。


金融商品のPricingをやるのは楽しいよな?アレをロングして、コレをショートして・・・・でもな、大事なのは会社がそもそもナンデその金融商品を売ろうと思ったのか。そのコンテキストを理解しないとダメだ。CFOが何をしたかったのか。市場の反応をどう予測していたのか。Corporate Finance通りには理解できないことが必ず生じてくるが、それもこのコンテキストを把握すれば、解決の糸口がつかめるんだよ」


理論がなければ、混沌とした現実世界をどう考えればいいか、その思考の出発点すら持つことができないのだ。


VCによるValuationでは、大体割引率50%を使う。コレはえらい高い数値である。CAPMのレンジを飛び越えている。たとえVCのManagement FeeとかCarryを含んでも、割引率の理論的な上限はせいぜい30%くらいだ。でも50%がVCのRule of Thumb(経験則)で、実際にこれでうまくいっている。じゃあなんでこんなに高いのか?それは、投資対象がポシャるリスク(事業破綻リスク)を考慮しているからだ。マイクロソフトとかトヨタをValuationするとき、その将来キャッシュフローがゼロになることを想定することはまず、ない。でもVCが投資するベンチャー企業は7割以上の確率でポシャるのだ。この低い生存確率をカウントするからこそ、割引率は50%になる。普通のCoporate Financeでは導き出せない数値だ。


「重要なのは、この割引率が成り立っている理論的根拠(この場合では生存確率の考慮)を理解しておくことだ。この理論を分かっていなくても、平時なら盲目的に経験則を信頼して50%を採用していれば問題ないだろう。でもコレが通用しなくなったら?経験則が通用しなくなったとき、その原因を分析し、修正できるのは理論を知っている者だけだ。理論を理解していれば、変数を追加・修正するなり、枠組みを変えるなりして対応できるはずだ。理論を理解していればこそ、環境の変化に対応でき、したがい競争に勝ち抜くことができるのだ」。

「今後、真の意味で経常収支の赤字を減らそうと考えるならば、アメリカはまた外国がのどから手が出るほど欲しいと思えるような画期的な製品を生み出すような業種を作らなければならない。

そしてあなたがその動きに貢献し、それに乗じて素晴らしいキャリアを築くとしたら、今どういう業種につけば良いかということが自然と分かってくるでしょう。」