45歳という節目

 45歳になったとき、自分の前半生について二つの感想を持ちました。「たいしたことができなかった人生だったな」という残念な気持ちが、一面です。数学もコンピュータ・サイエンスも、経営コンサルタントとしても、シリコンバレー人としてもベンチャー・キャピタルも、どれも中途半端。でもそういう総括の仕方しかないというのはさびしい。その一方で、「自分なりに自分の生き方に筋を通して一生懸命必死にやってきた」という自負のようなものはある。「the rest of us」は、みんな似たような感慨をもちながら生きているのだと思います。
 ひとつの道をワーッと行けたというわけではないけれど、恥ずかしくて逃げ出さなくちゃいけないほどくだらない人生なんかじゃない。僕自身、僕が生きてきたようなそういう道筋が人生にあるんだということを、誰からも教わらなかったから、自分のことをこの本に書きこもうと思いました。