HBSの卒業式で学生代表スピーチを務めた仲間も語っていた。周囲の人よりももっと早く出世したいとか、同じくらい報酬を稼ぎたいとか、そういう相対的な評価は辞めて、自分だけの絶対的な価値観と軸で足ることを知ることができたら、どれだけ我々は幸せになれるか、ということを。

そもそも留学生活自体が、そのような相対評価からの脱却を教えてくれたはずだ。MBAは学生のスタートラインがある程度均質的な義務教育とは異なり、それぞれの年齢と経験、バックグラウンドが大きく異なる。同級生には35歳の医者と、21歳の大学卒業直後の若者がいた。彼らに対しては何かを「教える」のではなく、各人がそれぞれ何かを感じ取り、昨日の自分よりも少しだけ強くなっていく、あくまでもそういう場なのだ。